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OMNIVORE(ミドルイースタン)
ヘルシーで種類も充実している。
(2017/1/15)
レストラン
St-Laurent通りを歩いていれば間違いなく目に留まる温かみのある外観。
副菜の盛り合わせHerbivore(好みのものを5種類:$10.50)。1種$4、3種選択$7.50も可。豊富な選択肢があり迷ってしまう。季節によって食材が変わっていくのも嬉しい。中央上から右に地中海料理お馴染みのタブレ、ひよこ豆のトマト煮、丸麦のフェタチーズと香草和え、レンズ豆ご飯、色とりどりの野菜の煮浸し。
人気のOmnivore($12)。炭火焼のチキン(もしくはビーフ)に、その日のサラダ、レンズ豆ご飯、ホムス、ガーリックディップが結構なボリュームでついてくる。
これがkaftaのセットのCarnivore($15)。kaftaは国によって混ぜるものや形状に変化が出るが、野菜やハーブ、スパイスなどを挽肉に混ぜて焼き上げたもの。
grab&go感覚で人々が手にして出て行くのがkaftaのサンドイッチシリーズ。写真は人気があるというBeirut($6.50)。ビーフのkaftaに、ホムス、中近東独特のスパイスsumacで炊いた玉ねぎ、キャベツのタヒーニ(白ごまペースト)和え、野菜のマリネが一緒に巻かれている。
肉のグリルやkaftaは炭火で焼かれる。
木をふんだんに使った内装でカジュアルな雰囲気。昼間はお客さんの出入りが激しい。
 クリスマス休暇を恋人の家族とオンタリオで過ごしていたシモンが帰ってきた。水玉シャツのはちきれそうな胸元を見て、彼も飽食の年末年始を過ごしたようだ。銀行勤めのシモンはいつもどこかナーバスだ。キーボードを打つ彼の指先一つで、銀行に数万ドル、数千万ドル単位の損失を負わせることもあるという仕事環境が、リラックスできない性格に拍車をかけている。タバコも減らないし、アル中気味だとうそぶいてもいる。自分を落ち着かせる何かにコミットしたい、ヨガクラスに一緒に通ってほしいと言う。お互いまん丸になった顔を見合わせて、一緒にヨガスタジオに通う意思は固まった。

 とはいえ、どちらかが途中で放り出す可能性は否めない。鞭の後の飴が必要になってくる。ヨガクラスの後、アルコールなしの健康的な夕食も一緒に摂ろういうことになった。本来なら、各自帰宅して軽めの食事を作るのが最も健全だろうが、そんなことをしていると21時を回ってしまう。下手したら空腹感からいつもより羽目を外した食べ方をしてしまうリスクもある。それならいっそ外でヘルシーな夕食を同志と一緒に済まして帰るのは賢明な選択ではないか、という点に二つの丸顔は頷きあった。ヨガスタジオの近くに、彼の出身地でもある地中海地域の料理を22時まで手軽に食べられるレストランがある。

 OMNIVORESt-Laurent通りとMarie-Anne通りが交わる角にある。平日のランチ時間帯は食べていく人、持ち帰る人、歩きながら食べる人たちでいっぱいになる。

 私たち丸顔組がここを選んだのは、MezzaMezeMezzeなど表記は地域によって異なる)と呼ばれる野菜や穀類の前菜/副菜の盛り合わせが比較的ヘルシーで種類も充実しているから(私の狙い)、ホットヨガで体幹を鍛えた後は、動物系プロテインで筋力アップ(シモンの狙い)という2通りの食べ方が叶うからだ。

 Herbivoreという名のついた前菜の盛り合わせは、1種類だけ選べば$4、3種類なら$7.50、5種類の盛り合わせなら$10.50と総量も増えていく。2人なら、趣の違う5種類の小皿料理を選びシェアするのが楽しい。サラダ系、米系、豆系、煮込み系、炒め物系、マリネ系など多くの選択肢があり、彩りも綺麗でテンションも上がる。見ただけでも使われる食材の豊富さが感じられ、1日30品目摂取もここでは可能かもと思ったりする。

 身体トレーニング後30分以内に良質のプロテインを摂ることが筋力アップにつながるといわれるが、それを実践しているシモンのお目当は、Omnivore($12)やCarnivore(15$)といった肉料理が入ったプレート。Omnivoreは鶏肉か牛肉のグリルに、サラダとレンズ豆ご飯とホムス(Hommous/ひよこ豆のペースト)とガーリックソースがついてくる。ほんわかしたピタパンをお供に、ホムスやペーストは惜しみない量が盛られてくる。肉の量やサラダ、レンズ豆ご飯の分量も申し分なく、バランスもいい。

 Carnivoreは、中東の代表的な肉料理であるkafta(野菜やスパイスなどをひき肉に混ぜ込んで焼いたもの。この店では串焼きになっている)とレンズ豆ご飯とホムスのセットとなる。そのkaftaを使ったサンドイッチも人気がある。つくね状のkaftaをエキゾチックな食材やソースと合わせたサンドイッチは、BeirutIncaRomaなどの都市名を冠したシリーズを成す。いずれもワックスペーパーで綺麗に巻かれた筒状の形態で、大口を開けてかぶりつかなくてもすむサイズだから、歩きながら食べる派からの支持は厚そうだ。このスマートに食べられるサンドイッチには、ベジタリアン向けも含め10種類以上があり、値段も$6〜$7とかなりお手頃。サンドイッチとサラダもしくはスープをセットにしたコンボ($10.50)もある。

 さて、飴と鞭作戦の枠組みはできた。ヨガスタジオに行く日を決めるべくシモンにテキストを送る。

私:ヨガクラスいつから始めようか?
シモン:今週は仕事の終わりが見えない。とりあえずOMNIVOREでご飯だけ食べとく?

OMNIVORE(ミドルイースタン)
4351 Boul St-Laurent
最寄り駅:Mont-Royal


取材・文:稲吉京子