レストラン
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角地にある店の前は広場になっていて、そこで買ったばかりのランチを食べている人々もいる。 |
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La maison des Empanadasと自称する通り、おおきなガラスケースはエンパナーダでいっぱい。12種類の中から選ぼう。各$3.80 |
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イートインコーナーがなくなって、広々とした店内。ランチ時や閉店前の夕方は多少列ができることもあるが、店内で待つことができる。 |
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食べ比べするから、どれがどれかわかるようにしてくれる?とお願いしたら、ふた部分の内側にメモしてくれた。でも1種類足りない… |
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これがBurrito Grande 11$。名前ほど大きくはないが、温かく重みがあり、中はトロっとして満足感あり。 |
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奥がソーセージ系のエスパニョーラ、手前がツナ。このふたつは、どうにも理解ができなかったが、はまる人にははまるのかも。 |
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奥がチキン、手前がチリスタイル。最も人に愛されるだろう定番エンパナーダ。 |
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見た目の通り、パン生地が結構カチッとしている。個人的にはもう少しふんわりしている方が好きだなぁ。 |
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奥が地中海スタイル、手前がキノコ。どちらもベジタリアン対応。優しい味。ベジタリアンは計4種類ある。 |
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マヤがエンチラーダを届けてくれた。近くまで来たから、などと言っていたが、何日か前に私が「自分が作る食事に飽きた」などとぼやきメールを送ったからに違いない。でも、なぜエンチラーダなのか聞くと、すぐに食べられる温かいものがいいと思って、と言う。いや、そうじゃなくて、なんで中南米系を選んだのかと聞くと、そもそも店はエンパナーダ専門店なのだということ、そして彼女の子供たちを友人達と遊ばせる際、おやつに持たせるのにここのエンパナーダの形態が誠に便利で、たまにまとめ買いに行くのだということが分かった。車の後部座席には、四角い紙製の箱がいくつか見える。優しいマヤのこと、これも誰かに配るのかもしれない。
旅行先で食べる以外、エンパナーダを食べたいと思う機会がないだけに、エンパナーダ屋さんLa Chilenitaに興味が湧いた。さらに、キャンディーバーなどを子供に与えない彼女が選ぶおやつがどんなものなのか。
プラトーを散歩する人は、一度くらい通りかかったことがあるのではないか。La Chilenitaは、メトロのSherbrooke駅からJeanne-Mence公園に向かって歩くと、ちょうど中間地点ぐらいに位置するRoy通り沿いのお店だ。店に着いて、何年か前にエンパナーダの評判を聞いたことがあったのを思い出した。
店は縦に長く、中央の大きなガラスケースには、ぎっしり並んだエンパナーダが見え、奥にチラッと見えるキッチンには、一度に相当な量のエンパナーダを作るのか、2、3人の調理スタッフがいる。
お目当てのエンパナーダのメニューには12種類ある。中身については、正直よくわからないので、なるべく違った雰囲気をもつ6種類(各$3.80)を頼んでみた。ただ、エンパナーダは温かい状態ではないため、その場で準備してくれる食べ物も頼んでみることにした。
La Chilena チリスタイル
Au Poulet チキン
L’espagnola スペインスタイル
Au Thon ツナ
Végé-champignons キノコ(ベジタリアン)
La Méditerranéenne 地中海スタイル(ベジタリアン)
Burrito Grande ジャンボブリトー$11
家のオーブンで6種類のエンパナーダを温めながら、その間ブリトーから食べてみる。
メニューで見た写真のブリトーは外側に焦げ目がついていたので、少しクリスピーな感じをイメージしたのだが、実際は白い柔らかいトルティーヤのまま。中に詰められた黒豆、ライス、アボカド、チーズ、チリソースが一体化し、一部が溶け出しトロっとしている。体感温度マイナス25℃の体力を消耗しやすい日には、この温かいどっしり感がちょうどいい。
さて、温めた6種類のエンパナーダ。
それぞれが違うテーマの具で、味もまったく違う。頼んだすべてが大成功というわけにはいかず、自分の好みピッタリのものを見つけないと、ハズレた感が強いかもしれない。明らかに、何種類も同時に食べ比べるものではないことが分かった。
最も普通に受け入れられそうなものは、チリスタイルとチキン。散歩中に通りかかった際に、1個だけ温めてもらってその場で食べるのにはいいかもしれない。結局は好みということになるが、私はキノコか地中海スタイルがなじみやすかった。家庭的なさりげない味。地中海スタイルの中身は、ナス、赤ピーマン、オリーブ、キノコだったが、迷って頼まなかったナポリスタイルの方が良かったかもしれない。中身はアーティチョーク、グリーンオリーブ、トマト、山羊チーズ。そして、ツナは意図がよくわからないエンパナーダだった。中身と外の包みの融合がない。エスパニョーラの中身はソーセージの薄切りのソースだったが、これも好みは分かれるだろう。パン生地もぽっそりしている。もしかしたら、調理してから時間が経っていたエンパナーダに当たったのかもしれない。
少し気になって、人々の評価を見てみる。星の数ではかなり高評価を維持し、人々の反応も上々のようだが、1カ月前のコメントに1つだけ「味が落ちてた!」というネガティブなものがあった。その場で調理してくれるメニューは心配はないかもしれないが、エンパナーダの場合は時期的な問題、買うタイミングなど少し調べてから行くといいかもしれない。
私も、次回は通りかかったついでに、その日に作ったエンパナーダか確認したうえで、ナポリスタイルか、ホウレン草のエンパナーダを1個だけ買って味わってみようと思う。
La Chilenita(エンパナーダ専門店)
130 Roy E,
最寄り駅:Sherbrooke
取材・文:稲吉京子