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Le bistro Avril(ショッピングモール内)
「人には知られたくない」食事スポット。
(2022/3/15)
レストラン
ザワークラウトとボッコンチーニのピザ
キノコとラクレットのピザ
スモークサーモンのピザ
全て乗せのピザ
ベジタリアンチリスープ
レンズ豆のスープ
ロケット菜とドライ・チェリートマトのサラダ
デーツの焼き菓子
CARRÉ DE RÊVE
サラダの種類は豊富。ジェラートのショーケースもある。
Promenadesというショッピングモールの一部を成すオーガニック系大型スーパーのAvril。
Promenadesの入り口から入っても華やかな方に直進せずに、右へ。
Le bistro Avrilのスペース。
日本では、「本当は教えたくない〇〇」というコピーは集客力があるらしい。好奇心をくすぐり、ついリンクをクリックしてしまうのだそうだ。確かに、YouTubeや物販サイトでよく見るフレーズだが、そんなけち臭いこと言わんと、みんなが知った方がええやん、と思いつつ、私もクリックしてしまう。 今日はそんなYouTube風「人には知られたくない」食事スポットを紹介する。 しかも、すこし変り種だ。場所もモントリオール市内から少し外れる。設定もレストランというより、食品スーパーの一角。ここで、「それ無理」と思った人にこそ知ってほしいスポットだ。 ミニマルと北欧系のエッセンスすら感じさせる爽やかな空間で、自家製生パスタや焼きたてのイタリアンピザが食べられると聞いたらどうだろう?生地は薄めでもっちり、具はプロシュートなどの定番ものから、斬新な組み合わせまである。

ベットタウンのSaint Brunoには、郊外型ショッピングモールが隣接するエリアがある。そんなショッピングモールのひとつ「Promenades Saint-Bruno」に、Avrilというヘルシーをコンセプトにしたオーガニック系大型スーパーがある。 ショッピングモールのPromenadesの入り口から入ると、魅力的なレストランの数々が目の前に広がる。最初はそちらの探索に足が向きそうになるが、直進せずに右に進もう。モールとAvrilの接続部分にある広々としたLe bistro Avrilが見えてくる。右側がカフェカウンター、左側がイタリアンカウンターに分かれ、中央が食事をするスペース、またカフェ側には、外に面したガラス張りの食事スペースがたっぷりある。

頼んでみたものを紹介しよう。

-キノコとラクレットのピザ $11.99
-バッファローモッツアレラとザワークラウトのピザ $10.99
-全部乗せピザ $11.99
-本日のピザ:スモークサーモンとサワークリームのピザ $11.99
-チリスープ $3.99
-ブロッコリーとケールスープ $3.99
-ロケット菜のサラダ $4.99
-デーツの焼き菓子 $2.99
-CARRÉ DE RÊVE(メープルシロップとナッツのアーモンド粉の焼き菓子)$3.49

それぞれのピザは具が違うだけではなく、ソースやチーズも異なるため、まったく違った印象のピザが食べられる。私が感動したのは、ラクレット用のチーズをたっぷりの本物のキノコと合わせたピザ。キノコのムンとする野性的な匂いと、少し癖の強い熟成した感のあるラクレット用チーズの見事なマリアージュ! ザワークラウトにバッファローのモッツァレラを合わせたピザも実験的で週末の特別感が感じられる。定番メニューにはない本日のピザのスモークサーモンは、ケイパーとサワークリームなどの白いソース系でまとめられた少し酸味のあるピザで、たまには食べたくなるタイプのピザかもしれない。全部乗せのピザは、チーズが平凡で量が多かったためか、最もケベックスタイルのピザに近い印象。

実は、自家製生パスタやラビオリが評判で、週末は3時過ぎに行くと、パスタ類は全部売り切れになることもある。Le bistro Avrilで私が初めて食べたのが生パスタとリコッタのラビオリだった。Avrilでの買い物帰りに、お腹が空いて家までもたないと言う連れのために、立ち食い蕎麦感覚で立ち寄ったのだ。そのため、写真を撮っていないのが残念。

チリは野菜たっぷりの穏やかなスープでいつでも食べられる定番。もうひとつのスープは、ブロッコリー&ケールを頼んだのに、レンズ豆のスープが出てきた。インドスパイスが利いていて、ピザや生パスタと合わせるのでなければ悪くない。 デーツの焼き菓子やCARRÉ DE RÊVEは、Avrilの「体に良いものを」のコンセプトを体現するシンプルで優しい味だった。

ここの魅力は、「こんなところに、こんなものが、この値段で」という意外性と、背後にあるコンセプトから得られる安心感だと思う。限定量しか作らない生パスタのフレッシュな食感、東京のイタリアンさながらの大胆な具使いやチーズ使いのイタリアンピザを、スウェットを着たままスーパーの一角で食べられる設定は、ここだけのオリジナルだ。 実は、モントリオールのダウンタウンエリアに、最近Avrilができたらしい。まだ行ったことはないが、ウェブサイトでBistroのメニューを見てみると、Saint Brunoとは少し系統が違う。定番のものは同じだが、より都会の忙しさを反映した、グラブアンドゴーしやすいカフェメニューが中心。郊外ならではの空間の余裕と意外性はなさそうだ。

もう少し夏に近づけば、外にLe Marché des Promenadesというマルシェも出て、季節の野菜やフルーツが並ぶ。Avrilの建物の中で育てている有機野菜やハーブもそこで販売されるのかもしれない。ジャックカルティエ橋から車で13分、思い立ったらパジャマのまま行けるブランチの次回候補にしてみては?

Le bistro Avril(ショッピングモール内)
500, boulevard des Promenades, Local Y102A
最寄り駅:Saint-Bruno-de-Montarville


取材・文:稲吉京子