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Casa Minhota(ポルトガル料理)
年に一度はそこで食事をしたいと思わせる。
(2021/10/15)
レストラン
St-Laurent通りに昔からあるレストラン風の佇まい。
子牛肉の薄切りポートワインソース添え$30。ポートワインは素人がちょろちょろ作る料理を各段美味しくしてくれる隠し味だが、本場ポルトガルのポートワインのソースはやはり純粋に美味しい。
バカラオMinhotaスタイル$29。絶妙な質感のポテトの厚さとコリアンダーのフレッシュな風味とトロトロ玉ねぎの相性がとってもポルトガル!?
ハウスワイン$28。毎日飲めるテーブルワインとして穏やかで嫌みがない。
ザックリ切られた新鮮な野菜とタコの組み合わせは、日本人にとってはなじみやすい。
今日の主役パウロのお気に入りのクリーミー・バカラオ$26。これからの寒い季節に、たまに食べたくなる味かもしれない。
クラシックな白のテーブルクロス使いを見て、かなり本格的なレストランなのかと思いきや、プラスチックパックに入ったバターが出てきたので、気楽なモードで大丈夫。店内ではポルトガル語が飛び交い、ポルトガル文化に根差したお客さんが目立つ。
 ポルトガル人のパウロに、今年こそはあの店で僕の誕生日を祝ってくれと言われていた。指定してきたレストランはCasa Minhota。本格的なBacalao(バカラオ)料理を食べさせるポルトガル料理店だ。去年の誕生日をこの店で祝うはずだったが、パンデミックの影響で叶わなかった。彼曰く、モントリオールで一番おいしいバカラオが食べられる場所だ。「モントリオールで一番の〜」は言った者勝ちなので、指標としては使えないが、少なくとも人生の大半をポルトガルで過ごしたポルトガル人が、年に一度はそこで食事をしたいと思わせるレストランであることは分かった。 バカラオとは、塩漬けにした干し鱈のことを指すらしいが、ポルトガル料理ではこのバカラオを使った料理も有名だと言う。因みに、パウロが発音するポルトガル語ではバカリャウ、バカリャオという音に近い。お店の名前のCasa Minhotaはカーサ・ミニョタという感じに聞こえる。Minhoはポルトガル北部地方の名前だ。

 そういうことで、パウロを含めた3人でSt-Laurent通りにあるCasa Minhotaの前で落ち合った。テーブルの予約をし、各人の好みを聞きつつ何を頼むかを決めたのもパウロ本人。見当はずれなことを言っている私やカルロスをたしなめ、流ちょうなポルトガル語でお店の人にオーダーしたのは以下の通り。

Grilled Octopus Salad $20
Creamy Codfish $26
Codish Minhota Style $29
Veal Scallops with Porto Sauce $30
House wine 1L $28

 まずは、赤のハウスワインとグリルしたタコのサラダで始める。デカンタでサーブされるワインは、複雑さはなく好感が持てるsympaな美味しさ。通常のワインよりアルコール度が少し軽い印象。グリルしたタコのサラダは正統派サラダでフレッシュだけど、少しオイル感が強い。卵の乗った鱈のクリーム煮はグラタンに近く、リッチで口の中で全部が一緒くたにとろける感じがいい。これはパウロのお気に入り。

 私向けに頼んでくれたのが、Minhotaスタイルのバカラオ。自家製の薄切りポテトのグリルと、トロトロになった玉ねぎが鱈の上にたっぷり乗っている。ポテトのふわっとした絶妙な質感はその厚さに秘密があるのだろうか、素朴な仕上げで、玉ねぎソースとバカラオと絡めて食べるためにそこにあるといった感じ。これからの寒い季節にはピッタリのリッチなバカラオだ。

 最後に、魚料理に興味がないカルロスのために頼んだのは、ポートワインソースの子牛の薄切り肉。ポートワインの産地だけにさすがにソースは素晴らしい。付け合わせのポテトや野菜とのバランスもいいし、お肉好きのための正統派ディナーといったところ。テーブルについてくるパンやオリーブについては、特別コメントはない。

 客層は年配のグループや家族が多く、パウロのような地元の味を求めてくるポルトガルに起源を持つ人が多いようだ。実は、近所にもう少し洗練されたスタイルのポルトガルレストランがある。価格帯も似ているけれど、そちらの方に欠けているのは地元感だそうだ。ポルトガル料理といえば、チキンの丸焼きとNata(カスタードパイ)しかないかのような印象を与えかねないモントリオールの外食環境に静かに腹を立てていたパウロ。今日は、そうじゃないことを私とカルロスに示せたことが、誕生日以上に嬉しかったようだ。

Casa Minhota(ポルトガル料理)
3959 Saint-Laurent Boul
最寄り駅:Sherbrooke


取材・文:稲吉京子