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PAMIKA: Brasserie Thai(タイ料理)
さりげなくスペシャルにいきたい大人向けのお店。
(2021/12/15)
レストラン
大胆でエキゾチックな雰囲気の店内。冬は夜だけの営業。
卵麺を巻き付けたエビフライ。食べにくいが、気分は盛り上がる。
ココナッツミルクベースの、レモングラスなどのタイらしい香草を使ったスープ
ポークフィレとパイナップルの炒め物。すっぱ甘いが、ご飯とよく合う。
ホテルの一部に組み込まれたようなPamika。木製のデッキ部分では、夏場はタイBBQが楽しめる。日中の営業もあり。
 日本の隠れ家ブームはどうなったのだろうか。カフェ、バー、旅館などどこもかしこも「隠れ家」が冠につく時代があった。まさにそんな「隠れ家」を思わせる、師走の集いにおすすめなレストランを紹介したい。ナイトライフに傾いた暗めの照明や、アジアンモダンの雰囲気が、日常をしばし遠ざけてくれる。デートにもいいし、独りでバーに立ち寄りたい人にも良さそうだ。

 MetroのSherbrooke駅から徒歩で5分程度のところに、古いヨーロッパ調のプチホテルがある。かなり昔からやっているホテルで、パッと見は素敵。ただ、近づくとそうじゃない部分も見えてくるし、星の数はかなり少な目のB&Bだとわかる。そして、そのホテルの一角に組み込まれるように店を構えるのが、タイ料理の店Pamikaだ。

Pamikaの入り口はホテルの入り口とは別に、木製のデッキ風の階段を数段上がったところにある。ガラス戸を開けて中に入り、予約していることを告げる。大胆な灯り使いやデコレーションが異質な感じなのに心地よく、隣接するヨーロッパの古い邸宅風のホテルといい、玄関を隠すように立つこのレストランといい、少し不思議な気分になる。ビロードの厚いカーテンの奥に進んだら、誰かの意識につながっていて、もう戻って来られないかもといった想像までかき立てる。

案内してもらった席でメニューを眺め、冷えている身体が望むままに頼んでみた。

Kung Sa Rong(卵麺の衣のエビフライ)$11
Tom Kha Kai(ココナッツミルクのスープ) $17
Pad Prew Wan(ポークのフィレとパイナップルの炒めもの)$17
Chang(タイビール)$8

Kung Sa Rong:卵麺をエビ一本ずつを卵麺でくるくる巻いて揚げたエビフライは、少しワイルドな食感。タイ独特の甘い透明なソースにディップして食べる。見た目はかわいいし、爽やかなビールともぴったりなおつまみ。タイビールのChangは、昔プーケットで飲んだときは特別何とも思わなかったが、冬のケベックで飲むChangはなかなかいい!

Tom Kha Kai:チキン、ガランガル、レモングラス、ココナッツミルク、ライムの葉、コリアンダーを使い、香草の組み合わせマジックが効いた真っ白なタイのスープ。香りも味もさりげないのに豊かで満足感がある。レモングラスやガランガル(ショウガ科植物の地下茎)は、なかなか自宅では使えない材料なので、この風味が味わえるのは嬉しい。

Pad Prew Wan:チキン、トマト、キュウリ、玉ねぎ、パイナップルの炒めものに、ごはんがついてくる。ランダムな印象の原材料が、お皿の上ではこっくり一体化している。酸っぱ甘いのにまろやかで、エキゾティック過ぎない味に仕上がっている。

 これで足りなかったら、オイスターマッシュルームのソースのヌードルを頼むつもりでいたが、その必要はなかった。連れとのおしゃべりにも花が咲き、身体も内側から温まった。Singhaビールがなかったのは残念だったが、雪の季節でもアクセスはしやすいし、店内のウェイターもさっぱりしていて、すべての要素が「また来ようか」という気にさせる。師走を、パーティーシーズンを、さりげなくスペシャルにいきたい大人向けのお店だ。

PAMIKA: Brasserie Thai(タイ料理)
901 Sherbrooke E
最寄り駅:Sharbrooke


取材・文:稲吉京子