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第3回は榊原美和(さかきばらみわ)さん (2001/7/15)
アーティスト
アーティスト:榊原美和(さかきばらみわ)

絞り染め

 古っぽいようで、案外おしゃれな、夏に着ると涼しい絞り染め。そして日本人に大変似合う、吸い込まれるような、藍色(写真にはない)。明治のころ日本を訪れた外国人たちは口々に、日本人がインディゴブルーに身を包んでいたと伝えている。

 絞りに強く興味を持ちはじめたのはまだほんの4年ほど前。それも最初は藍染めの素敵な色に惹かれて、さまざまな染め屋、紺屋、ある時は徳島(藍の産地)に足を運んでいた。そうこうしているうちに絞り染めに目がとまった。そして、現在の日本の絞りの90パーセント以上をしめる有松、鳴海地区のある方のところで教えてもらえることになった。新しい技法を習うのが楽しみで、複雑にみえた柄も、こんなふうに絞られていたんだ、と感動の日々。案外原始的に括られている絞りなのだが、多くの人に手間暇かけられて仕上がっていくから高級になってしまうのも納得できる。

 絞りの面白いところは、やはり括られた糸を解いている時のわくわくしている瞬間。糸を括って、染めて、乾燥させて、やっと解ける。図案は決まっているが、色が入るべき以外のところに染み込んでしまったりして、失敗もある。最後まで分からない、その緊張感が何ともいえない。

 カナダにきてから2年になるが今でも少しずつ染めている。今までにバザーにも数回出してみた。一番心に残っている反応は、これjavelでも落としたの?ときかれたとき。そうだったら簡単なのに!

 学校で染織について勉強してきたわけでもないので、本当に下手の横好き。真剣に伝統工芸の道を目指している人たちもいるけれど、自分は伝統の形を見習い、崩さず、実用性のある作品を作っていきたいと考えている。昔の人たちの考えた技はすばらしい。老若男女を問わず、手に取ってもらえたらうれしい。

いつかは本物の藍を使って自分の作品を染めてみたい、これが今の夢。

とんぼ玉

 実はもう一つ趣味で、とんぼ玉(ガラス玉)を作っている。東アフリカで見かけた、奴隷貿易時代現地の人たちがこぞって欲しがった美しい、カラフルなとんぼ玉。世界各地にあったことが確認されている。

 作っている姿は、飴細工職人のような感じで、色ガラスが溶けているうちにいろいろな模様をつけていく。

最後に

 絞り染めもとんぼ玉も手作りのぬくもりを自分自身が好きだから、作りたいと思える。物ばかりが豊富になって、心が後回しになりがちなこの頃、私はこの2つを通して人の手によって作られた温かさを伝えていきたい。日本ほど素敵なものがたくさんある国はないし、そんな国に生まれたことを誇りにしていける人が増えていったらいいな、と思う。

作品・文:榊原美和


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