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第5回はMiki Nishidaさん (2003/6/20)
アーティスト
アーティスト:Miki Nishida

 日本から初めてカナダに来た時、あまりの環境の変化に着いて行けず、夜になると微熱がでて、病気になりました。大阪からいきなりリジェイナ、サスカチュワンですから…カナダに来る前、アメリカに1年近く住んでいたので、カルチャーショックはありませんでしたが、とにかく、めっちゃ寒い。想像を是する寒さとはこの事です。−40度が1ヶ月続いた時には、さすがに参りました。

 大学を終了するため、ここモントリオールに移り住んで4年近くになります。大阪生まれ、大阪育ち。よく日本人ぽくないと言われますが、自分では日本人というより、バリバリの大阪人といった方がいいのかもしない。確かに、他人から(日本人)「大阪出身でしょ。」と初対面で言われる。ここで日本語を話す機会があまりないので、すぐマザータングの大阪弁がでる。(大阪人は標準語が話せないのです。)あと態度も“大阪人”がみなっぎているようで…

 コンコーディア大学のコンテンポラリーダンス科卒で、日本にいる時もダンスをしていました。今は、ダンス(振付)以外にもビデオ、写真、衣装、音までも自分で作ります。それにテクノロジーにも興味あります。これからは、もっと書く事に専念したいと思います。(I am a control freak.)

 ダンスの勉強てどんな事するの?とよく聞かれるのですが、一言でいって"movement study"です。動きの研究。で、何のこっちゃいと思いますよね。ムーブメントスタディとは、自分のアイデア(usually comes from the core of myself)を追求し、それをムーブメントでクリアに表現し、紙上にもはっきり自分のクリエイティブプロセスを表するのがダンスの勉強です。アカデミック的な事はあまり要求されませんが、それよりも人生勉強といった方がいいのかもしれません。

 「なんだそんなん簡単そうだ。」と思う人も多いですが、ダンスは、身体と脳味噌を使って学ぶので、とても疲れるし、自分の言いたい事は人にはっきりと伝えなければいけないし、それを文章にして提出しなければならない。お芝居のように仕事が分散されていないので、音楽、照明、衣装、ビデオ、小道具と全ての事を知っておく必要があります。とにかく何でも屋でないといけないのです。私の器用貧乏な性格もあり、卒業の時には、一通り何でも出来るようになりました。

 余談ですが、私は大変おっちょこちょいで、シカゴでパスホートをなくした時、日本の領事館に旅券の再発行をしに行ったんです。領事館の人に「そんな遊んでいるような事(ダンス)をしているから無くすのよ。」といわれ、侮辱された時は、非常に腹がたった。旅券の件もあり言い返す事もできず、8年たった今でも覚えています。

 小さいころ夏の盆踊り(河内音頭)によく行っていました。そのお陰で、リズム感が身につきました。ダンスを習い始めたのは10歳のころその時ちょうどダンス映画ブームでジャズダンスが主流でした。高校の卒業後ダンススクール(専門学校)に行きました。それから、4年現代舞踊(コンテンポラリー)をしました。いろいろあってやめようと思った事は幾らでもありますが、"Dance is a drug."なので一度やるとやめれないのです。

 しかし、最近、この症状から抜け出せたような気がします。"I enjoy dancing. It is not obsessing."今は、ビデオやモルティメデアを使った作品を作ります。例えば、コンピューターとDVカメラを使って、ライブの動き(ダンス)が音を作り出すといった事もしましたし、ビデオとダンスのソロも作りました。確かにダンス界の傾向もダンスだけでなく、テクノロジーを使ったり、ビデオなどを使ったりといろいろしているようです。

 ダンス以外のアートもそうだけど、ダンスは特に嘘をつけない。自分の思っている事、精神状態、人生経験、全てが、動きに表れる。衣装をきていても裸で踊っていてもあまり違いはない。観客に全て伝わるのです。自分に嘘をついていると、説得力のないような作品が出来上がります。全てが明確でなくてはいけないのです。しかし、全てを事を知っている必要はないし、全て伝えなければならない事はないのです。大事な事は、自分の状態を知る事です。己を知る事こそ、ダンスに大切です。ダンスは、自分形成のクリエイテブ=プロセスなのです。

 これからも、モントリオールを拠点にダンスの活動を続けていくつもりです。もしHour/Voirなどで私の名前を見たら観に来て応援して下さい。

ダンス・文:Miki Nishida
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