ARCHIVES
La Galerie Art Mûr (2013/6/1)
ギャラリー
 今回訪れたのはGalerie 20号で一度紹介したことがあるArt Mûr。ご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、Rosemont地下鉄駅の近くにあるギャラリーです。2002年に設立された当時は額装サービスに主を置き、付属施設の様な形でギャラリーをしていましたが、ここ数年で30人あまりの専属作家を抱え、現在では本格的なコマーシャルギャラリーとして、めきめきと実力を付けて来ている所です。

 さて気になる展示の方ですが、今回は4人展示している作家の作品の中から、イスラエル出身でバンクーバー在住の写真家Dina Goldsteinの「In the Dollhouse」と言う写真作品をご紹介したいと思います。ギャラリーに入ってすぐ、一階手前の展示スペースで観ることができるこの作品は、女の子の着せ替え人形の代表格であり、完璧なプロポーションとルックスの代名詞であるバービーとそのパートナーである美青年ケンの、人形ハウスの中での破綻したカップルの生活をテーマにしたシリーズ作品。ディズニー映画で描かれるような、いつもハッピーエンドで終わるお伽話中の理想的で完璧な世界とはかけ離れた、キッチュでダークな禁断の世界として描かれているのが特徴です。2004年にバービー人形の発売もとのマテル社がこのカップルの「破局宣言」をした事を基にしたプロジェクトなのかは定かではありませんが、端から見れば何の不自由もない裕福な美男美女で理想のカップルなのに、裏では冷えきった仮面カップルであると言う設定や、パートナーのケンが実は同性愛者でバービーに興味を持っておらず、挙げ句の果てには彼女がいない所を見計らって、彼氏を連れ込んでいたりと、ちょっとアメリカのドラマシリーズの様なドロドロとした設定となって居る所が面白いと思いました。

はじめこの作品を見たとき、そのテカリ具合や腕などの接合部分の感じから、マネキン人形のみを使って撮影されていた短編ドラマシリーズ「オー!マイキー(The Fuccons)」のように、これまたマネキン人形を使って撮影したのか?と思いましたが、展示室の脇に上映されていたこの作品の記録ビデオから、なんと完全実写版である事が判明!大掛かりなセットを作って、出演するモデルにプラスチックに見えるよなメイクを施す事によってつくられていた事にちょっと驚きました。ここまで来ると映画のセットか何かの舞台装置と言わんばかりの大々的な制作現場の裏側を垣間みることができ、この作品展に新たな一面を加えていたのが印象的でした。

(「In the Dollhouse」のホームページ:"http://inthedollhouse.net

ギャラリー:Galerie Art Mûr
所在地:5826 rue St-Hubert
スケジュール:火〜水:10時〜18時 木〜金:12時〜20時 土:12時〜17時
メトロ:Rosemont
ウェブサイト:HP

文/Text:畑山理沙/Risa Hatayama