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レストラン
今は夜だけの営業だが、おそらく夏は天井まで引き上げるタイプの窓を全開にして、ランチをもう少し廉価で楽しめるのではないかと予想。
カルビのマンドゥ $9.50。日本や中国のギョーザではありえない、韓国ならではの味付けが味わえる。
プルコギのビビンバ $24.50。野菜とご飯と卵が一体となったあの香ばしいビビンバ特有の味や素材感はなく、ソースがかなり力を振るっている。
「オバマのお気に入り」のプルコギ・コリアンBBQ。$26.50。焼肉、野菜炒め、白いご飯が恋しい人にはぴったり。味はこっくりと甘め。
韓国料理店とは思えない雰囲気。予約する際に、窓際の席は寒いので寒がりさんは要注意。
お客さんでいっぱい。玄関付近には常に予約したお客さんがテーブルが開くのを待っている状態。
評判のいいハイエンド韓国レストランがあると聞いた。Rachel通りの「Luna」というお店だ。ケベック人の知り合い二人が、別々にこの店の名前を挙げた。そんなに言うならと、メディアの評判を拾ってみると、「本格的でいてモダン」、「モントリオールでベストなコリアンレストランと言っていい」「これぞハイエンド韓国の味」などと口をそろえる。

特定の料金以上の料理を頼めばアルコール持ち込みOKのお店で、予約は必須のようだ。2時間で食べてテーブルを次の客のために解放してほしい、6人以上のグループ予約はできず、2人ずつ3組に分けて予約を取って、店に到着してからテーブルを引っ付けさせるのはやめてくれ、などとお店もやりくりに苦労しているようだ。とにかく、相当な人気店だというのは伝わってくる。

空き状況を見てみると、5時半〜9時15分まではいっぱいだったので、9時15分から2時間の枠をオンラインで予約。予約当日、携帯にコンファームの問い合わせが2回来た。徹底ぶりに感心する。

店に到着するまでは、てっきり薬膳の要素や薬食同源といった韓医学を意識した料理、それこそ韓国の宮廷料理を想像していたが、まったく違った。店の構えはフランスの小粋なビストロ風で、中に入ると各テーブルが大盛り上がりのお客さんでいっぱいだ。お客さんに韓国人の顔はなく、アジア人も私ひとり。

テーブルに置かれたメニューはプレフィクスの2種類(ひとり$34.99 / $45.99、2人以上〜)しかない。私はア・ラ・カルトを頼みたい。20分待って、単品メニューを手に入れた。迷うほど品数がないのはありがたい。自信作だけを前面に出すやり方は好きだ。 二人の知り合いは、プルコギが一押しだと言っていた。メニューにもプルコギの隣に「オバマのお気に入り」と書かれている。「シェフのお気に入り」のユッケも気になるが、すでに3票も獲得しているしプルコギの流れは止められない。

頼んだもの:
-韓国バーベキュー Bulgogi  $26.59
-ビビンバ Bulgogi $24.5
-カルビのマンドゥ (フライまたは蒸し) $9.5

まずは蒸籠に入ったマンドゥが出てくる。端と端をくるっと丸めこんだ私の知っている韓国のマンドゥではなく、手作り感あふれる普通サイズの蒸しギョーザが3つ。確かにハイエンドな雰囲気。ビーフがほろほろっと口の中で溶けるイメージ。日本のギョーザ、中国のギョーザ、モンゴルのギョーザでは絶対に味わえない韓国特有の甘辛い味付けだ。どう?と連れに聞くと、「コスコの冷凍韓国ギョーザと同じ味だ」と悪びれず言う。苦笑する私を見て、あわてて「もちろんこの繊細さはないけどね」と付け加える。

次は韓国焼肉のプルコギが、ライスと野菜炒めと一緒に鉄板で運ばれてくる。 韓国の焼肉のタレにしっかり付け込まれて焼かれた牛肉が、こんもりとした野菜炒めの上にたっぷり乗っている。銀の器に入ったご飯との相性は非アジア人を熱狂させるようだ。面白いなと思ったのは、普段口に入る牛肉より柔らかく、ジューシーだということ、油たっぷりの野菜炒めに味がついているから、いつもは食べない野菜も全部食べられるというというコメント。普段から白いご飯の意味がわからない連れは、こういうあらゆる角度から味が入れ込まれたお肉料理と一緒だと、白米も食べられるし、意味が分かる気がするというのだ。Lunaがケベックの人々に支持されるのは、この徹底した味付け、迷いのない濃さなのかもしれない。

さて、プルコギのビビンバは石鍋風の入れ物に入って出てきた。回しがけるのは、韓国ソースか味噌か醤油かを聞かれ、味噌にしてみた。持って来てくれたものをすぐにかけて混ぜたが、石鍋の温度が十分高温ではなかったのか、具を混ぜ込んだご飯と卵を予熱でチリチリ焼き上げることはできなかった。それでも、ナムルなどの具の彩りや見た目は美しく本格的。ただ、味は今まで食べたことのないビビンバだった。甘辛いソースの味が全体を席巻し、焼けたご飯と野菜のフレッシュ感や卵との組み合わせで起こる、例のほのぼの味がなかったのは残念。ここでもやはり思うのは、ケベックの人々の胃をつかむのは素材の味というよりソースの味なのかもしれない。 量が足りなかったら、チャプチェを頼もうと思っていたが、その必要はなかった。頼んだ料理それぞれが、かなりしっかりした味付けなので、食欲を抑え込んでくれるのか、たくさんは食べられなかった。

因みに、オバマさんがここでプルコギを食べたのか、オバマさんはただのプルコギ好きなのかは、まだ謎のままだ。

Luna(韓国料理)
917 Rue Rachel Est
最寄り駅:Mont-Royal


取材・文:稲吉京子